啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

溶血性尿毒症症候群

       

 「脂質と血栓の医学」の「小児科疾患」の項の「溶血性尿毒症症候群」(http://hobab.fc2web.com/sub6-HUS.htm)によりますと、
 「溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS)は、腎臓を主とする、血管内皮障害(血管内皮細胞障害)で起きる。HUSは、血小板減少症、溶血性貧血、急性腎不全を、3主徴とする。
 腸管出血性大腸菌(EHEC)から産生されるベロ毒素(注1)は、腎臓を始めとする毛細血管内皮細胞を障害し、HUSを合併する。
 HUSは、小児期では、腸管出血性大腸菌(EHEC)である、O157感染症に引き続き、発症することが多い。一般的に、O157感染症に伴うHUSは、下痢などの初発症状が発現してから、数日から2週間以内(多くは5〜7日後)に、発症することが多い。
 典型的HUSの約90%は、下痢に引き続いて発症し、その約90%は、ベロ毒素(注1)を産生する、O157のような腸管出血性大腸菌(enterohaemorrhagic E.coli:EHEC)や志賀赤痢菌が原因で起こる。
  腸管出血性大腸菌(EHEC)による腸炎(EHEC腸炎)では、産生されるベロ毒素により、大腸の腸管粘膜上皮細胞が破壊され、下痢が起こる。また、また、ベロ毒素は、腸管血管内皮細胞を障害し、腸管粘膜のびらんと腸管出血を起こし、出血性大腸炎を発症する。さらに、腎臓の糸球体血管内皮細胞が傷害され、微小血栓形成が起き、血栓性微小血管症のため、溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全を3主徴とする、HUSが起こる。
 EHEC腸炎がHUSを合併する頻度は、1〜10%とされている。HUSの2〜5%が急性期に死亡して、HUSの5〜10%が慢性腎不全に移行する。」