啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

 大学発ベンチャーの壊滅と大学法人化

 この10年間で一時1000社を超えた大学発ベンチャーも、どのくらいが現在生き残っているのでしょうか?200社も残っていれば幸いなことと思います。
 大学の法人化が、大学発のベンチャー育成には全く逆に働いたというのは、実に皮肉なことです。発明者個人から法人としての大学や研究機構に知財権が帰趨するように変更され、研究者のインセンティブが削がれてしまいます。
 一方、法人として組織力や財力を駆使した活発な事業化が期待されたものの、その知財権を行使する人材や能力が法人にないばかりか、財源不足により知財権の新規獲得はもちろん維持さえでままならなといという、むしろ強力な急ブレーキとしてベンチャー育成を阻害します。
 さらに、利益もろくに出てもいないうちから、利益相反ガイドラインで縛られてしまって、法人化前のほうがそれなりの自由性があったとも言えるのかもしれません。
 たしかに、これでは、「何もしないのが一番」という状況が作り出されていて、創造性つまり異端的なアイデアや活動の活力がシステムとして排除されてしまうようになっているように思われます。これが我が国の閉塞感を醸し出している一因でもあるのでしょう。