啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

学位を取得した7人の博士課程の大学院学生達

 こちらサウジアラビアのアブドラ国王科学技術大学 (KAUST)の教授の研究室から、今度一挙に7人の博士課程の学生が学位(PhD)を取得して同時に卒業します。

 この大学に赴任して、本来は徐々に学生を取っていくのが良かったのですが、ある時にフル・プロフェッサー(教授)は最低5人以上の学生を取ることという通達が出たこともあり、一時一挙に学生を取ったことから、このような事態になった次第です。

 このため、毎日のように世界から入学希望者のメールをいただいたり、サウジアラビア国内からも入学希望者が非常に多くコンタクトしてきてくれましたが、博士課程の大学院生が8人もいますと、その間の入学希望者の要望には簡単に応じることができませんでした。

しかし、現在は、まず3人程度の博士課程大学院学生の募集に踏み切りました。特に、KAUST 以外からの奨学金のような財政的な基盤を持っている学生は、有利さがあります。

 と言いますのも、このサウジアラビアのKAUSTの大学院生は、大学院大学なので大学院生しか入学できませんが、大学院学生達の授業料は無料です。彼らは、お金を払う必要が全くありません。また、逆に毎年に年間500万円程度の奨学金をKAUSTからもらうことができます。しかし、このようなKAUSTからの奨学金は、それぞれの受け入れ教員からの研究費から支払わなければなりません。受け持つ学生の数が増えれば増えるほど、担当教員の財政的負担は多くなります。

 また、教授の研究室では、次世代の科学の担い手は「女性」が重要な役割を果たすという認識で、学生に関しては能力が男女でほぼ同等の場合には女性重視の立場を取っております。特に、サウジアラビアの置かれた環境を考えますと、女性科学者の育成は非常に重要と考えています。このため、教授の研究室に所属する博士課程大学院学生の8人のうち、7人は女性でした。そして、その1人を除いて全員が既婚者であり、彼らは全員子供さんを複数持っています。

 このため、学位審査会で、学位取得で合格の判定が下された際には、審査の部屋の外で待機していた家族や多くの友人達がお祝いをするような大騒ぎになり、子供達と涙を流して抱き合いようなとても感動的なシーンが多く見られます。

 来たる2019年12月13日の学位授与式のセレモニーで、それぞれが学位記を学長から授与され、学位服と帽子を教授からもらう戴帽式のようなものがあります。