啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

「何となく、今年はいい事あるごとし」

 毎年元旦になると、どうしても石川啄木のこの短歌、
「何となく、今年はいい事あるごとし。元旦の朝、晴れて風なし。」
を口ずさんでしまいます。 
 明治44年「創作」1月号が初出とされるこの名句は、病と貧困に苦しみ辛酸を舐めている現在の状況から抜け出したい気持ちから「今年こそはいい事があるように」との強い願いのこもった一句と言われています。
  しかし、元旦の朝が晴れて、冷たく透き通ったような空気に触れると、「もう去年までの全ては忘れて、今年は何かいい事があるかもしれないなあ」といった突き放した心境になることが多いので、啄木もそのような気持ちだったのかもしれません。
 なお、「悲しき玩具」には、
「年明けてゆるめる心!うつとりと 来し方をすべて忘れしごとし」
という句があります。「正月で気分を一新して、その緩んだ心で今までのことも忘れていってしまう」ということでしょう。過去の悪い出来事や思い出は全て忘れたいけど、どうしても現実はなかなかそうさせてくれないという解釈よりは、「忘れたいよね!」とか「忘れてしまったようだ!」という雰囲気が滲みでているように思われます。
 明るい未来が来ると確信しながら前に進もう、と是非にも言いたいところですが、世界情勢や日本のいく末を思いやると、どうしても悲観的になってしまうのは、教授だけではないのかも知れません。
 それでも、やはり教授の合言葉「Ever forward, Never Give up!」(前進あるのみ、決して諦めるな!)の精神で、2017年も頑張りましょう!