啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

映画版「悼む人」

今年の芥川賞は、芸人のピース又吉さんが書いた小説「火花」が受賞し、大きな話題となりました。賞金額は、教授達の生命科学の分野に比べると少ない方に当たりますが、そのインパクトは非常に大きいように思われます。
「『悼む人』(いたむひと)は、天童荒太(氏)による日本の長編小説。第140回直木賞受賞作。『オール讀物』(文藝春秋)にて2006年10月号から2008年9月号まで連載された後、加筆修正を経て2008年11月に同社より刊行された。2012年、大森寿美男の脚本・堤幸彦の演出で舞台化され、同じ脚本・監督により映画化され2015年2月に公開された。」(Wikipedia)

この映画「悼む人」を半年遅れで見ましたが、非常に面白かったです。繊細過ぎて世の中を渡るのが下手な人の心の内面を深くえぐりながら、我々が日常的に忘れていた「悼む心」を強烈に訴えて行きます。
寂しく死んでいったり鮮烈に死んでいったりする人達を、形式でなく、どう心で弔うか、日本人の「連帯」する心の原点を、今や少数派となった繊細な心の持ち主の奇妙な「悼む旅路」から呼びかけていく力作でした。