啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

「非常勤講師、雇い止めの動き」

 朝日新聞デジタル 6月15日(土)8時58分配信によりますと、「大学、5年でクビ? 非常勤講師、雇い止めの動き」という刺激的なヘッドラインで、大学や研究機関における「労働契約法(労契法)改正」問題を取り上げています。
 5年以上の有期雇用の継続は、無期雇用の権利が自動的に非雇用者に付与されるというのが、今回の法改正のポイントです。
 この法改正は、一見労働者の権利保護のように見えますが、一方で今までは有期雇用の5年以上の継続ができたものを、5年以内で雇用契約を打ち切られる場合が出てくることです。このため、職を失うことになるのです。
 つまり、職の流動性が担保されてこそ、この法改正が活かされますが、そうでない職環境ではむしろ多くの非雇用者を路頭に迷わせることにもなります。
 下記の記事の引用に最後に、「こうした問題を受け、政府は成長戦略で、研究者などへの労契法適用に関する課題を検討することを決めた。労契法に特例を設けるのか、別の制度で対応するのか、文部科学省厚生労働省で検討していく。」とありますので、何らかの例外規定が期待されます。

<引用>
朝日新聞デジタル 6月15日(土)8時58分配信 「非常勤講師、雇い止めの動き」【吉田拓史、牧内昇平】
 「有力大学の間で、1年契約などを更新しながら働いてきた非常勤講師を、原則5年で雇い止めにする動きがあることがわかった。4月に労働契約法(労契法)が改正され、5年を超えて雇うと無期契約にする必要が出てきたからだ。」
 「法改正は、有期契約から無期契約への切り替えを進め、雇用を安定させるためだ。だが講師たちは生活の危機にある。朝日新聞の取材で、国立の大阪大や神戸大、私立の早稲田大が規則を改めるなどして非常勤講師が働ける期間を最長で5年にしている。」
 「大阪大と神戸大は、その理由を「法改正への対応」と明言。無期への転換を避ける狙いだ。有期の雇用契約の更新を繰り返し、通算5年を超えた場合、働き手が希望すれば無期契約に切り替えなければならなくなったからだ。」
 「早大は、3千人以上の非常勤講師を徐々に減らす方針で、「長期雇用の期待をもたせられない」(清水敏副総長)。もともと非常勤講師以外の有期職員は上限が5年。これに合わせることも考えていたという。」
 「一方、国立の徳島大などは、労働組合や指導現場と協議して上限を設けなかった。「地方大学は、5年で一律に辞めさせたら講師が確保できない」(徳島大)という事情もある。首都圏大学非常勤講師組合(松村比奈子委員長)によると、多くの大学が当初、契約期間の上限設定を検討したが、講師らとの協議で、撤回する例が相次いだ。」
 「松村委員長は「解雇しにくいという理由で大学は無期転換をいやがる。だが、非常勤講師は特定の授業をするために雇われ、その授業がなくなれば解雇される。無期転換を拒む理由はない」と主張する。一方、大学側は「担当の授業がなくなっても雇用継続を主張する人も出てくる」(大阪大)と警戒する。」
 「こうした問題を受け、政府は成長戦略で、研究者などへの労契法適用に関する課題を検討することを決めた。労契法に特例を設けるのか、別の制度で対応するのか、文部科学省厚生労働省で検討していく。」
(引用:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130615-00000007-asahi-ind