啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

時代が動くとき

 世界情勢はときとして混沌としながらも、大きな歴史的な転換点を形成しながら、時代を動かすことがあるように思われます。
ギリシアの財政危機が、現在これを書いている時点で、明日にはどうなるかがはっきりしてくるようです。明日、2015年7月12日(日)にヨーロッパ首脳が再び集まって、ギリシアの債務再編で援助に向かうのか、グレジット(Grexit)でギリシアのEU離脱をいよいよ決めるのかの判断がなされるようです。
 このギリシアに対する判断は、今後ポルトガル、スペイン、イタリアへと連鎖反応する可能性があり、ヨーロッパがどうEUの理念を守りきれるかが正念場を迎えていると考えられています。
 ギリシアは、一度はEUに「ノー」と言いたかっただけの国民投票では済まされないほど、厳しい現実生活がさらに続くのでしょう。
 ギリシアの影で、アメリカ合衆国の統治領のプエルトリコが、また財政破綻の危機にさらされています。昨年、プエルトリコを訪れたとき、観光が最大産業ながらも、プエルトリコから住人の脱出が相次ぎ、人口の大規模な減少に歯止めがかからず、経済の立て直しさえ難しくなっている現状を身をもって感じました。
 中国の経済は、今週に起こった上海や深センの株式市場の急落、そしてそれを国自らがあの手この手で支える手法、それらを考え合わせると、どこかで資本主義と社会主義共産主義の矛盾からくる社会システムのほころびが、大きな時代を動かす予兆として露呈してきているのかも知れません。その意味では、日本の「経済バブル崩壊」とは異なる次元で中国の動きをみておかないと、時代の動きを見誤る可能性があります。
 ロシアの経済も、ウクライナクルミア併合以降、西側からの経済制裁で苦しんでおり、ギリシアに経済的な援助を行えるような状況ではないと言われています。
 中東のほうも、イランの核問題に関するアメリカとの合意も決裂するかどうかのギリギリの所に来ており、予断を許さない状況が続いています。これは、中東の核問題の発端となる可能性があり、交渉の結論次第によっては、中東に核が広がっていく前兆になるのかもしれません。
 これらの世界的な変動は一見独立に起こっているようにみえるかも知れませんが、むしろ第2次世界大戦後70年を経過して、新しい秩序形成に向けた大きな時代の動きの大きなうねりから来る様々な現象や予兆として捉え、そのうねりに全世界が今後曝されていくようにも感じられます。