啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

中東の人はどうして「ガラス張り」が好きなのか?

中東の人は「ガラス張り」が好きなようです。
 KAUST(アブドラ国王科学技術大学)の大学の中は、大理石と木の扉とガラス張りで溢れています。もうひとつ言えば、噴水です。壁を伝わる噴水から、オープンスーペースの各所にある湧水のように作られた噴水です。キャンパスの中には、巨大な人口湖まであります。 
 そういえば、あてがわれた自宅も、床は寝室以外はすべて大理石でしょうか、玄関の扉と寝室の床は、木のフローリングです。
 実は、サウジアラビアなどの中東の沙漠の国では、「水」と「木」は貴重品。ガソリンは1リットル日本円でほぼ25円なのに対して、「水」は1リットル100円ほどする場合があります。また、飛行機からみる国土は確かに緑のほとんどない沙漠です。「木」などあろうはずがありません。
 したがって、木の玄関の扉をもつ家はいい家の印とのこと。そして、貴重品の水を鑑賞に当てる「噴水」は富の象徴になっています。ジッタ市内の臨海の海から吹きだす噴水は、世界一の高さを誇っています。以前、その高さで世界一を抜かれた時、工事をやり直してでもその高さの世界一を取り戻した言ういきさつがありました。
 また、中東の空港のビジネスクラスのラウンジは、目が眩むほどの贅を尽くしたつくりで、各所がガラス張りです。実際、よく気をつけないと、急いでいる場合は、ガラス扉を認識できずに衝突する可能性があります。
 そういう教授も、KAUSTに就任直後に、手続き上キャンパス内の病院で健康診断を受けて玄関を出ようとしたところで、すべてがガラス張りであったため、ガラス壁に激突し、眼鏡と時計が大破するという事故に遭いました。左眼の上を若干打撲しただけで済みましたが、場所が病院であったため、看護婦さん達には囲まれるは、医者は駆けつけるは、同僚のBajic教授は車で駆けつけるはなど、一時騒然となったことがありました。日本に帰って、眼鏡の修理は無料でやってもらえたのですが、時計の修理には高額なお金がかかってしまって大損害でした。しかし、今思うと、この眼鏡と時計が、教授の顔面と体を守ってくれたのだと考えています。
 ちなみに、そのキャンパス内の病院のガラス扉の横のガラス壁には、享受の事故以来、「要注意」の注意書きの紙が貼られており、その近くを通るたび、一人苦笑しています。