啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

天使の日々

 8月9日(金)から本日の18日(日)まで、福岡の実家で91歳の母親の24時間体制の介護を行って来ました。 
 老人介護の大きなポイントは、「転倒」リスクの回避です。リスクには、誤飲による窒息だったり、風邪などによる感染症だったり、いろいろありますが、極端に言ってリスクの80%以上は、「転倒」と言われています。
 いわゆる介護用語で言う「移乗」の際の転倒リスクが高いのです。「移乗」とは、たとえば車椅子の乗降やベットと車椅子の移動などのことを言います。
 特に、転倒によって、単なる打撲程度ですむなら良いとして、骨粗鬆症などを持っていると、途端に寝たきりや場合によってはそのまま死に直結するというリスクを持ちます。
 この介護で最も留意すべき点が、「1に転倒、2に転倒、3・4がなくて、5に転倒」と言う割れる所以です。
 「移乗」を自身だけで行おうとするときに、最大の「転倒リスク」が存在すると言われています。したがって、見守りで少しだけ支えるだけで、そのリスクが激減するのです。
 意識がしっかりして頭脳が明晰な老人ほど、自身で動けるという自身があったり、他の人に迷惑をかけたくないとの思いが強すぎて、一人でそっと移乗などの行動に走ります。とりわけ、深夜のトイレなどの場合にその傾向が強く、これが最大の転倒リスクを産むと言われています。
 そういうわけで、24時間体制の協同作業が、自宅介護には欠かせない場合はあるのです。
 一方、そのような機会を天が与えてくれたと思うと、過酷な10日間も「天使の日々」だったようにも思われます。