啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

「未来のサイエンスに願う」

 敬愛する東大名誉教授の和田昭允先生の定例コラム「あすへの話題」の最新版(2012年6月14日(木)日経新聞夕刊)が、「未来のサイエンスに願う」というタイトルで出ています。和田先生の要点の鮮明性と文章の明確さには、いつもながら敬服します。
 今回、和田先生は、「サイエンスには大きな欠点があって、「知」を守るために「情」を捨てざるを得ない」ことだと言います。しかし、「「無情」では、人の「意」は得られず、社会を大きく動せない」と主張します。この一見矛盾する「知情意の三位一体」こそが、世界平和への究極の解答だと断言します。
 そして、最後に以下のように呼び掛けています。「サイエンスという唯一の世界共通語を話す方々にお願いする。その厳密で公正な知を、「ヒューマンな心」にのせて、人間の情・意を発揮する道を見つけて欲しい。そして人類に、森羅万象の知が裏付ける「確信に満ちた希望の光」を与えて欲しい。」
 まさに心に浸みる文脈です。文章のうまさもさることながら、和田先生の考え方のスケールの大きさというか、コンテンツの質の高さというか、大いに同意するとともに、感動さえも覚えました。