啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

放射線安全基準の不思議

 「国が定めた安全基準を超えた放射線量が観測されましたが、健康には問題はありません。」といった報道が日常茶飯事に流れています。
 しかし、よく考えると、これほど矛盾に満ちた表現はありません。
単純に考えても、「安全基準を超えているのに、どうして安全と言えるのだろう?」とか、「安全基準を超えても安全というのであったら、安全基準って何?」とかといった素直な質問が出てくるのは当然と思われます。
 いつもお世話になっている東大工学部の先生からいただいたほんの数行のメールで、すべてがわかりました。
 日本の「安全基準」は、世界機関が定めた「安全基準」のさらに何分の一と言った低い基準値に設定されているのです。しかも、その設定に論理的な基準がないようなのです。
 つまり、「世界の安全基準より低い値を基準にすれば、より安全だろう」といった非常にナイーブな思考が基本にあったのではないかと思われます。ただ、教授の専門分野ではないので、この推測には、検証が必要に思われます。
 もしこのようなダブル・スタンダードとしての安全基準が、我が国にで設定されているとすれば、原発事故で働いておられる作業員の方々の被曝限度放射線量を、厚生労働省が一気に二倍などにするにしても、それが世界の安全基準以下であるならば、なるほど二倍に引き上げてもいいはずです。
 つまり、安全基準が2つあることの混乱は、今後留意すべき問題点と考えられます。