啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

メディカル・ゲノミクス

 本日、ゲノム科研費関係の会議が朝から午後の中頃まで、東京駅近くの会議室でありました。 
 久しぶりに我が国のゲノム科学の開拓者の吉田光昭先生とご一緒させていただきました。相変わらずの頭の切れと回転のよさで、「吉田節」が炸裂。いちいちごもっとものご意見なんだけど、あの迫力は実に本物!本当のサイエンスを知っている研究者ならではの迫力ということか。
 もうひとりは親愛なる中村祐輔先生とも、1か月ほど前にJSTで辻省次先生が主催されたDiscussion会合でお会いしました。中村先生とも長いお付き合いなので、どうしても「祐輔さん」と呼んでしまいます。最近、祐輔さんは、「メディカル・ゲノミクスと基礎科学としてのゲノミクスは分けるべきだ。基礎科学は遊んでばかりだから、患者さんの病気が治らない!」と言います。確かに、メディカル・ゲノミクスと基礎科学としてのゲノミクスは、目的も異なるところもあるし、研究の手法も大いに違うところが多いと思います。
 しかし、基礎科学は、わざと「遊ばせる」のです。そして、予定されたり目標であったりするものを越えた、予想だにもしなかったBreak-throughを出そうとします。この論理は、一般の方々には特にわかりにくく、まさに「仕分け」では返答がしずらい部分です。基礎科学のこの特徴がないと、メディカル・ゲノミクスも必ず行き詰まります。
 したがって、基礎科学としてのゲノミクスもメディカル・ゲノミクスも、その違いを理解しながら、車の両輪として一緒にやっていかないと、なかなか難しい状況になるのではないかと危惧しています。