啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

(木) 新型コロナ(SARS-CoV-2)の最初の感染者探し

 2020年5月6日(水)付ロイター通信の記事によりますと、「新型コロナ、人への感染は19年終盤から 英大学が遺伝子分析」という見出しで、次の記事が載っています。

「[ロンドン 6日 ロイター] - 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)の研究チームは6日、新型コロナウイルスの人への感染が2019年終盤に始まり、急速なペースで世界各地に広がったことを示すデータを発表した。

研究チームは世界各地の7500人以上の新型コロナ感染者から検出されたウイルスの遺伝子を分析。約200の反復突然変異が確認され、研究者はウイルスが人への感染とともに進化している可能性があるとの見方を示した。」

 この記事によりますと、UCLのグループ外国人7500人以上の新型コロナ感染者から検出されたウイルスの遺伝子の分析」とありますが、現時点で公開されているかウイルス単離株の全ゲノム配列半、16,000本を超えています。もうUCLの研究グループの発表の3倍以上のウイルスゲノムデータが利用可能になっており、その数はすごい勢いでさらに増えています。

 このウイルスのゲノムや遺伝子の配列データ比較によって分子系統樹を構築することは、現在ではかなり簡単にできますが、どのくらい前に比較されたとウイルスの共通祖先が出現したかというのは、UCLの研究グループ外国人やっているように、比較的容易にできます。

 しかしながら、どの感染者が最初だったかの推定は非常に難しいものです。というのも、その最初に感染したらしいときにウイルスを単離してゲノム情報が得られていれば話は別ですが、そうで無ければウイルスゲノムも突然変異で変化し続けていますので、その突然変異の蓄積した後しか分子系統樹から分からないからです。