啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

ラボミーティング

 教授が主務とするサウジアラビアのアブドラ国王科学技術大学(KAUST: King Abdullah University of Science and Technology)では、研究室の人員が総勢ほど20名いますので、毎週火曜にいわゆる「ラボミーティング」を行なっています。これは、毎週月曜日に行う「ジャーナルクラブ」と対をなすものです。
 ジャーナルクラブでは、毎週持ち回りで最近の論文を紹介し合います。一方、ラボミーティングでは、毎週持ち回りで自身の研究の進捗状況を報告するとともに、研究室内のできごとや予定を話し合います。そこで、毎回教授があいさつのようなものを行ないますが、決まって研究室内全員に発破をかけるかけています。時に、「時間との戦い」を強調して、みんなが頑張るように言い続けているのですが、どこまで通じているのか、分かってくれているのか、不安になることも多々あります。
  今日は、アルゼンチン出身の男子院生がわざわざ教授の部屋にやって来て、「これからもっと頑張るから!」と言いに来てくれました。「やあ、頑張ってね!」と軽く受け流して対応したものの、内心では「やはり、言っていることは結構通じているんだ!」と嬉しくなった次第です。
 日本人以外の院生もポストドクは、日本にいたときも何人も持ちましたが、さすがに多くが様々な国籍の人たちの集まりとなると、アカハラにならないように、またオーバープレッシャーにならないように、気はつけているつもりですが、なかなか難しいところがあります。こちらは、HR (Human Resource)という、日本では人事部とでもいうべき部局があって、スタッフや院生はそこに相談することも可能なので、指示や発破をかけるのも、無意識にやってはいけないのです。当然といえば当然なのですが、文化や教育基盤が各国で異なるので、日本の「普通」が通用しません。
 日本の大学で国際化が遅れていると言われる理由は、様々なスタンダードの多様化が遅れているというように言い換えてもいいのかもしれません。