啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

ゲノム研究の複雑化

 ゲノム研究が、時間と闘いのように、だんだん複雑化してきているように思います。
 以前にも指摘したように、研究のリミテッング・ファクターが高価で操作に技術力がいる大型シーケンサーであった時代は終わり、以下の二つのことが、新たなクリティカル・ファクターになっていることは、すでに皆さんの知っているところです。すなわち、「サンプルの採取と調整」と「データのハンドリングと解析」です。
 「サンプルの採取と調整」は、微量しか取れない場合、寄生や共生生物とコンタミとの区別や分離、環境設定の難しさ、時間経過ごとのサンプリング設計など、非常に重要ながらプロトコルがどこにもない深刻な問題が発生しています。
 「データのハンドリングと解析」は、ゲノムデータのマッピングやアッセンブルはもちろんのこと、そのあとの比較解析は始め、単体の解析ツールからパイプライン化まで、大きな問題が山積みです。さらに、いわゆる「ビッグデータ
(Big Data)と言われるように、超大量なデータの産出にどう対応するか、非常に大きな問題として浮上して来ています。特にどんなに有用な解析ツールが提供されても、データが大きすぎてインターネットで転送してフィードできない問題は、当然ながら、もう情報社会のインフラ自体の問題点としてきわめて深刻と考えられます。