啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

HeLa細胞の歴史


 本日(2011年1月11日(火))付けの朝日新聞朝刊31面に、香取啓介記者による「不死細胞HeLa だれのもの 〜世界での貢献 遺族は20年余知らず〜」の科学記事が掲載れています。
専門家の間では比較的によく知られているように、このHeLa細胞は、アフリカ系アメリカ人女性のがん細胞由来です。
 しかし、その女性が、バージニア州のたばこ農家出身女性で5人の母であるヘンリエッタ・ラックスさんという人であったといったことは、むろんあまり知られていません。
 しかも、30歳の1951年1月にジョンズ・ホプキンス病院で見つかった子宮頸がんが発端で、ジョージ・ガイ博士がそのがん細胞を用いてこの不死細胞を作り出したことまで、香取記者は記事で調べ出しています。この不死化が、ヒト・パピローマウイルス(HPV)によるものとのこと。
 この細胞の知財権の問題の議論が記事のメインテーマだったのでしょうが、HeLa細胞の歴史とその細胞が果たしてきた重要な役割の記載のほうが、教授にとっては非常に興味深く読ませていただきました。