啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

患者ゲノムと家族ゲノム

 最近、アメリカの2つの研究グループが、特定の疾患に関して患者さんの全ゲノムを決定するだけでなく、その人の両親や兄弟(姉妹)の全ゲノムを決定し、それぞれ、ひとつはサイエンス誌に、もうひとつはNew England Journal of Medicine誌に発表しました。アメリカのシアトル(Seattle)のシステムズ・バイオロジー研究所(Systems Biology Institute)のリー・フード(Leoy Hood)のグループと、ヒューストン(Houston)のベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)のリチャード・ギブス(Richard Gibbs)博士達のグループです。これらの研究は、4・5以上前にNature誌インターネット版に自身が発表した「今後やるべき研究」の同一線上にあり、幾重にも重要な意義をもっているものと思われます。?@遺伝率消失のジレンマの解決、?Aヘテロザイゴートの場合の一義的な塩基の決定、?Bゲノムワイドな突然変異スペクトルの観察、?C全ゲノムによるsegregation解析やlinkage解析を可能として、いわゆるGWAS一辺倒からの脱却、などを可能にするのです。(時間があるときに、このあたりを詳しく解説しますね。)