啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

(水) spac (スパック)上場人気のもつ米国資本市場の可能性とリスク

「spac」(スパック)と言われても、「何のことやら?」という感覚の人達が多いと思います。これは、「spc」と言われた「特別目的会社」の意味から紐解く必要がありますが、ソフトバンコ・ホールディングがよくやって会社買収している方法という方が分かりやすいのかも知れません。

 もともと、不動産などを証券化して、より大きな資金を集めるために合理的に作るペーパーカンパニーがspcと略される特別目的会社だったのです。しかし、現在では新規上場前のベンチャーカンパニーが通常の面倒なIPOプロセス(新規上場プロセス)を経ることなく、上場した特別目的会社(今はspac(スパック)という)に買収してもらって、実質的な上場を果たすことが、米国の市場で非常に人気化しているのです。

 ご存知のように、「ジャブジャブ」というより「超ジャブジャブ」となったコロナ禍に起因する経済対策の有り余ったお金は、世界の株式市場の価格を驚異的に押し上げてきただけでなく、金相場にも資金が浸透して金価格も高騰してきています。そして、金あまりでの投資先は新規上場(IPO)するベンチャー会社だけでは物足りず、どのベンチャー会社を買収するか分からない新規上場したスパック(spac: 特別目的会社)に多くの投資が米国資本市場ではなされている現実があります。

 このspac(スパック)方式ならば、IPOできていないベンチャー会社が素早く巨額な資金調達を可能にして事業の社会実現を早期に図るというメリットがある一方で、実質を伴わないスパックの横行というか、実力のないベンチャー企業も資金調達だけは手っ取り早くできるため、結局は投資が無駄になるリスクも大きくなるという危険性を孕んでいるのです。このspacの人気化は、英国でも起こっており、日本市場においても影響を与えるものと思われます。

 

 

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