啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

(火) 個人間接触の回避: 握手ではなく肘を合わせ合う

 教授が主務とするサウジアラビアの大学KAUSTは、教員のほとんどが欧米系の人達なので、挨拶は基本は「握手」です。こちらに長くいると、握手のタイミングもマスクーして絶妙のタイミングで手を出すことができるようになり、相手側との呼吸もぴったり一致して握手の仕方が大変上手になりました。

 ところが、この新型コロナウイルス(Covid-19)のパンデミックが始まって、握手をしないようになりました。これは、よく知っている人でも潜在的にウイルスに感染しているかもしれないので、お互いに戦々恐々として握手をためらってしていないのではなく、この感染予防には「社会距離(ソーシャル・ディスタンス: Social Distance)」という考え方が有効であると言う共通認識ができて、個人間でお互いの安全のために接触を避けて距離を置こうとするものです。

 放射線被爆の回避策においても、「地理的隔離(Isolation by Distance)」という概念が定着しており、出来るだけ距離を取って離れることによって隔離を成立させるという考え方です。まあ、簡単に言えば「逃げるが勝ち」と言った誤解を招きやすい表現に近いといえば近いです。

 この考え方を、社会的な行動に応用したのが「社会距離」で、この考え方を共通にして握手を回避しようとしているのです。

 その延長で、キャンセルや延期が出来なかった少人数の会議に於いては、個人間の座席の位置を出来るだけ広げて互いに間合いを十分に取って会議をしようというのが増えてきました。

  ただ、新睦を深めるための夕食会や昼食会などは、この「社会距離」を縮めることが目的なので、まさに相反する社会行動をとることになります。これはどうするか?しばらく我慢して「社会距離」を取るしかないないということでしょう。

 

 サウジアラビアでは、サウジ女性に挨拶するときは多くの場合相手の手にに触ることが出来ないので(最近少し変わってきて、Covid-19の前まではサウジ女性が握手を求めて先に手を先に出す例も増えてきましたが)、、自身の胸に手を当てて握手の代わりにしていました。この仕草は、女性にはとっても似合うのですが、教授のようなおっさんや熟年男性には少し合わないように思えて、慣れるまでは恥ずかしい思いがありました。しかし、この胸に手を当てて握手代わりにするというのも、「社会距離」を保つ上で有効で優雅かもしれません。