啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

(水) 「シュレディンガーの猫」

古典的コンピューティングにおいては、電圧のオンとオフで表現するように、「0 」と「1」のいわゆる古典ビットを考えます。

 しかし、量子コンピューティングにおいて、「0」と「1」以外にそのどちらでもある状態の「重ね合わせ」も考えます。ちょうどコインを回して、「表」が「裏」が出るか分からない状況によく例えられます。この状況まで考慮するとき、これを量子ビットと言います。

  量子力学では、状態の存在を全て確率的に考えるので、コインでは「表」と「裏」の両方である確率も考慮するのです。「表でも裏でもない」というようには言わず、「表でも裏でもある」という言い回しをします。確率ですので、確かに全て事象の確率を足し合わせたら1にならねばなりません。

  あたかも、猫が「生きている」状態と「死んでいる」

状態に加えて、猫が「生きているのと同時に死んでいる」(日本語的には「猫が生きてもなく死んでもない」と表現したいのですが、論理的には「両方の状態が存在している」という言い方がより正確です)状態も考えるのと同じ状況に似ています。

 「猫が生きている状態で、かつ死んでいる状態」!、って何?と言いたくなるのですが、量子力学では全ての存在は確率的ですので、そのような状態はあり得るのです。

  これが、世に言う「シュレディンガーの猫」なのです。