啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

あのサウジ厚生大臣と会う

「Expect the unexpected!」(「期待しないことを期待しなさい!」)は、先日の本ブログでも取り上げたサウジアラビアでの処世の格言でした。哲学めいた格言ですが、真意は簡単で、「まずは何も期待しないで、信頼が得られるように、相手に尽くしなさい。そうすれば、あるとき期待するものが得られるでしょう。」というものです。
契約社会に慣れてきた我々は、報酬を期待することなく相手に尽くすことが、実際には非常に難しいことを知っています。中東ビジネスで、その格言通り行って期待するものが何も得られず逆に損をしたという日系の企業も知っています。しかし、おそらくその場合は、信頼が十分ではなかった可能性があります。
教授の大学のKAUST (アブドラ国王科学技術大学)では、サウジアラビアの優秀な高校生を1ヶ月KAUSTに滞在させて、大学での研究生活を体験させるSRSI (Saudi Research Science Institute) Class [サウジ研究科学体験クラス]というものです。
この高校生の体験クラスの意義はよく分かるものの、自身やスタッフの研究時間を割いてしまうので、教授の方からすれば、できれば関係したくないところです。しかしながら、サウジ促進担当の 副学長から直々に参加をお願いされていたので、何としても教員の立場で参加せざるを得ない状況にありました。
昨夜は、高校生とその御両親を大学に迎えてのウェルカム・ディナーが、キャンパス内のイベント会場であったのでした。金曜日はこちらは休日で、また午後7時15分から10時までということで帰りも遅くなることから、渋々その時間に会場に向かいました。
受け入れ高校生だけで約40人なので、約40組の家族が少なくとも
いるということで、イベント会場はそれなりに満員でした。オープニング・セレモニーが始まって、本日は、厚生大臣がお見えになっておりますとのアナウンスで、隣のテーブルのKAUST学長のすぐ近くに御仁が座っておられるでは、ありませんか。ちょうど、私のテーブルで隣の席に座っていたサウジの女性副学長が、厚生大臣を知っているかと聞かれたので、まだあったことがないと言ったところ、「紹介してあげよう」と言って、ディナーの空いた時間を見計らって、私を大臣のところにつれて行ってくれました。
  教授は、新聞記事を始め大臣のことをよく調べていたので、ディナー最中ながらも、お互い立って長い話となりました。大臣は、なんと、片言の日本語で応対。最後は、名刺までくれて、「私の省で働かないか?」という微妙なお言葉までいただきました。
2015年5月25日(日)の本ブログの「サウジアラビア厚生大臣の決意」と題した写真入りの記事で紹介したその厚生大臣に、昨夜会うとは夢にも思っていませんでした。まさに、「Expect the unexpected.」を体現したような経験でした。

http://d.hatena.ne.jp/tgojobor/20150524/2015052302