啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

トマトジュースが脂肪を燃やすという論文

 トマトジュースが脂肪を燃やすという論文がPLoS Oneから出て、その発表後の2月の中旬、トマトジュースが売れに売れたという話を、大阪大学松田秀雄教授から聞きました。しかも、この論文の著者は、松田先生の共同研究者で、京都大学の河田先生のグループの論文とのことです。
 外電も、この論文の発表後、「日本からトマトジュースが消えた」とのニュースを出したとか。

「メタボリック症候群を改善するのに有効な脂肪の燃焼成分がトマトにあることを京都大などのグループが解明し、10日付の米オンライン科学誌プロスワンに掲載された。河田照雄京都大教授(食品機能学、58)らがマウス実験で検証し確認。人間の食事に換算すると、生トマトなら1食に2〜3個、成分が凝縮されるトマトジュースなら1食に200ミリリットルで効果が出る計算になるという。
 メタボリック症候群は中性脂肪が増加する脂質異常が一因。グループの河田教授は「トマトの成分で直接的に脂肪を燃やす効果が見られたのは初めて」としている。
 もともとトマトには油分の軽減や代謝の促進効果があると言われていた。トマトを多く摂取する欧州の8カ国でデータを取ったところ、動脈硬化が少ないなどの結果も出ていた。河田教授らは6年前から、農林水産省などによるトマトの研究プロジェクトに参加。トマトが含んでいる中性脂肪を下げる成分の発見に力を注いだ。
 河田教授らはトマトの成分を細かく分け、ジュースや果実から脂肪を燃焼させる遺伝子を活性化する物質を探索。リノール酸の仲間である「13―oxo―ODA」という物質にその効能があることを突き止めた。
 1日当たり、「13…」を0・002グラム加えた計4グラムの高カロリーの餌を肥満マウスに4週間与え、中性脂肪量と血糖値を測定。高カロリーの餌だけを与えた肥満マウスと比較した。その結果、中性脂肪は血中と肝臓で共に約3割少なく、血糖値は約2割低くなった。肝臓での糖質の吸収が良くなり、血糖値も下がったとみられる。
 河田教授によると、マウスが摂取した量は人間に換算すると「1食で生トマト2〜3個」。成分が凝縮されるトマトジュースなら「1食200ミリリットルぐらい」という。ただ、トマトジュースには食塩を含んでいるものもあることから「ジュースは注意して飲んでほしい」と話している。
 欧州には「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあり、トマトを食べれば医者に行く必要がなくなると言われている。河田教授は「あくまでマウス実験の結果」と前置きした上で、「トマトはうまみ成分のグルタミン酸も多く、手軽に手に入る食材。今後、企業の協力で人間でもデータが取れれば」と期待していた。」
(引用:スポニチ Sponichi Annex 2月15日付のニュースより
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/02/11/kiji/K20120211002608450.html