啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

学位授与式(Commencement Ceremony) at KAUST

  KAUST(アブドラ国王科学技術大学)は、大学院大学(大学院生からだけからなる大学のことで、学部学生はいない大学のこと)ですので、学位授与式は非常に大事なイベントのようです。
 キャンパスは、ほとんど「米国の一流大学」仕様ですので、もちろん学位授与式も米国流です。
 博士取得の学生達はもちろん、修士取得の学生達もみんな、ガウンのようなアカデミックドレスと帽子を着用して、ステージに上がって、一人一人学長から学位記をいただきます。
 博士の学位を受け取る学生たちは、やはり、ステージの上で、一人一人自身の指導教官からガウンのようなアカデミックドレスの上につけるストールを着せてもらいます。 
  それを、Facultyと言われる教授陣(教授、准教授、助教授(日本で言う助教))全員と、学生たちの親御さんや関係者が見守ることになります。
 このイベントというか、儀式の終了とともに、学生全員が帽子を空高く投げ放るという、それです。
 大学は、約2日前から、真っ青な紅海を背景に、大学の象徴であるビーコンの見える大きな野外広場を会場にすべく準備を始めるのです。 
 その学位授与式が12月14日16:00から2時間をかけてありました。

Regalia[リゲイリア] (アカデミックドレス)

 なんと、Facultyという教官は、全員、「Regalia[リゲイリア]」と呼ばれるアカデミック・ドレスを着て、行進して入場しなければならないというのです。しかも、出来たら自分が学位を取得した大学のアカデミックドレスを着用せよとのこと。
 これは、「実に困った!」のです。教授が大学で学位を取った頃は、ガウンのようなアカデミックドレスを着るような慣例はなかっただけでなく、大学紛争の余波もまだ残っており、卒業証書さえ破り捨てたつわものも多かった世代でした。しかも、教授の息子が学位を取得したときも、アカデミックドレスなどはその時だけしか使わないのでレンタルでいいとアドバイスをし、大学の生協からレンタルで済まさせてしまっていたような状況だったのです。

ハリーポッターになった日


 それでも、KAUST(アブドラ国王科学技術大学)はやさしく、式の当日の2時間前に来てくれれば、テイラー(洋服屋)も呼んで教授に合うサイズのリゲイリアを用意してくれるというのです。
 その通り、恐る恐る指定された場所に行くと、いろいろなサイズのものをきちんと用意してくれて、洋服屋もきてくれました。そして、何とか、ハリーポッターのような格好になりました。
しかし、自分の姿を鏡で見て、どうも周りの欧米人の教官と雰囲気が違うのです。ハリーポッターというより、何というか中国の清王朝の「宦官(かんがん)」といったほうがぴったりなのです。自分でいうのも、とても残念なのですが・・・、実にそうなのです。
 この写真を送ってあげたら、家族間では「キョンシー」ということでメールが飛び交っていた事実を知って、またがっかり。
 でも、自分のこころは「ハリーポッター」になった日でした。
 この儀式のあと、キョンシーは巨大で最新設備の大学のライブラリー(図書館)でのレセプションに臨みました。
 なお、このKAUSTのリゲリアは、無料にて自分のものとしてよいとのことで、これからはアカデミックドレスでの出番はいつでもOKとなりました。