啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

北朝鮮ミサイル下の日本の安全度

最近、サウジアラビアの教授の大学のアブドラ国王科学技術大学(KAUST)のポストドク(博士課程を修了し学位を取得したばかりの研究員あるいはその研究員職のこと)の一人が、日本での研究ポストを紹介したところ、家族の強い反対にあってその説得に苦労していることが分かりました。
日本の研究ポストは、日本有数な有名な研究機関ですし、研究場所も日本の一流の東京ど真ん中の大学キャンパスであり、待遇も悪くないので、日本人のポストドクならすぐに飛びつくポジションだと思われます。

なのに、何故にその家族は反対するのか?

その理由は、「日本は、北朝鮮のミサイルで危険だから!」ということでした。日本人なら、「な〜に、心配ないよ!」と思うでしょうが、「どうして安全と言えるの?」と正面切って問われると、確かに答えがないのです。日本人が持つ安全は、「神話」的に北朝鮮ミサイルは日本列島には飛んで来ないと想い込んでいる節があります。
韓国のソウルにこの夏行ったとき、同じような「神話」的に韓国の人たちが北朝鮮ミサイルを気にしていないことが分かりました。
サウジアラビアに住んでいると、日本の人達から「そんなところに住んでいて、危なくないの?」とよく聞かれるのですが、世界の多くの人達は、「日本や韓国が危ない」と思っているのです。
確かに、サウジアラビアでは、南はイエメンとの戦闘が続いていますし、北はシリアとの紛争が存在します。また、最近、汚職委員会が多くの閣僚や王子を逮捕する状況が発生し、穏やかではない状況は存在します。
サウジアラビアでは、日本の在ジッダ総領事館を中心に、よく所在確認訓練が行なわれます。イエメンの反政府組織からミサイルが打ち込まれ、邦人に怪我人が出たという想定で、メールや電話そしてFM放送による連絡があり、連絡を受け取ったら、組織ごとにあるいは個人で総領事館に安全かどうかを知らせねばなりません。また、先日始めてミサイルが打ち込まれたけれでも、サウジ側で迎撃されたという連絡も即時に受け取ります。しかしながら、実際の生活においては、日本にいる時と同じように、全くというほど危険性を感じません。
一方、日本では、「「J-アラート」というシステムで通報があるよ」と言っても、「どこに逃げるのよ?」とか「どうしたら居所などが分かるのよ?」と質問されても、答えようがないのです。韓国で開催予定の平昌冬季オリンピックに、フランス選手団は安全性の問題で参加しないことも検討されているといいます。
やはり、「神和」から卒業して、どうしたら日本は安全だということを海外に知らせることができるのかを真剣に考える時が来ているように思います。