啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

英国にみる対立軸の本質

このような株式市場のことより、この英国・EU離脱の論評が様々に出てきていることに注目する方が重要でしょう。この様々な論評に共通して見られる指摘が数点あります。
一つは、英国の2分された対立軸は、基本的に英国だけの問題だけではなく、EUの加盟各国にも同様に存在するという指摘です。さらには、米国の「クリントン」対「トランプ」の対立構造と類似であるという指摘です。
二つ目は、この対立軸の本質は、政治的な対立ではなく、古い世代と新しい世代の間の「世代間対立」でもなく、貧富の差による対立は関係しますが、むしろ労働者層と指導者やインテリ層の対立と言われています。つまり、理念や未来のビジョンでは、指導者やインテリ層のいうことは正しく理解できても、現実問題として移民の問題や収入の増加もなく生活の困窮が改善されない不満から現実を納得できない人達の声というのが、労働者層という言い方になって対立が起こっているのでしょう。

そういう対立ならば、大金持ちのトランプ大統領候補にどうして票が集まるかも納得できます。
いわゆる労使争議とは異なる対立軸ですが、これを単に民主主義と大衆主義(ポピュラリズム)という視点で見たり、単なる地球経済問題としてみると、状況を見誤る可能性があると思われます。