啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

SNPだけが変異ではない

 確かに、SNPのような塩基置換だけを変異の対象として捉えると、どのプラットフォームをシーケンサーとして用いるかにもよりますが、シーケンシングエラー率に非常に注意する必要があります。しかし、Indel(挿入や欠失)・転移/転座や逆位(transversion/transposition・inversion)・組み換え(recombination)などのゲノム上の再編成(rerrangements)などの非常に重要な変異は、検出可能と思われます。(プラットフォームによりますが、マッピングやアッセンブルの問題は技術機にかなり解決可能です。)特に、PacBioなNanoporeのような1分子シーケンシング技術を用いると、このようなゲノム上のDNA再編成の変異の検出はかなり出来るものと思われます。
 また今回の環境省の提案は、当初からいわゆるトリオ・シーケンシング(父母子)の全ゲノム解析で、可能なら祖父母の協力を得て、新生児の臍帯血からの試料採集ということから、heterozygous sitesにおけるhaplotypeの一意的な決定も可能になっています。その意味では、大臣発表だけでは分からないところも多いようですが、提案の中身をよく見ると、非常に合理的で住民の方々の次世代に対する不安の視点を共有しながら、その解消や対策を模索するプロジェクト立案がされているようです。