「静かな静かな 里の秋 お背戸に木の実の 落ちる夜は ああ 母さんとただ二人 栗の実 煮てます いろりばたた」(「里の秋」斎藤信夫作詞・海沼実作曲)の一番の歌詞と見事に符合します。
ただ、この童謡は、単に「里の秋」の風景を歌ったものでないことが、「母さんとただ二人」という文句に伏線として隠されています。つまり、誰か足りない人がいると言っているのです。
この歌詞の2番で、その状況がはっきりしてきます。
「明るい明るい 星の空 鳴き鳴き夜鴨(よがも)の 渡る夜は ああ 父さんのあの笑顔 栗の実 食べては 思い出す」
そして、その答えが、念を押すように、歌詞の3番に出てきます。
「さよならさよなら 椰子(やし)の島 お舟にゆられて 帰られる ああ 父さんよ御無事でと 今夜も 母さんと 祈ります」
出稼ぎの父の帰りを待っているのか、逝った父が今日こそ帰ってくると信じているのか、日本の童謡は、なんとも侘び悲しく、どこかに哀愁が内包的に漂っていますね。
(参考:http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/satoaki.html)