啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

(土) 「コール市場に"クジラ"がいる」

「米ハイテク株急騰の陰にソフトバンクGか 米報道という見出しの下、日本経済新聞( ( 更新))は、ソフトバンクグループのコールオプションの大規模な取引が、8月の株式市場の上昇の要因の一つになった可能性が高いと伝えています。

 「ソフトバンクグループ(SBG)が米ハイテク株のデリバティブ金融派生商品)で数千億円規模の取引をしていることが分かった。株価の上昇で利益の出るオプション取引で、同社による大口売買が8月以降の株価急上昇の一因になった可能性がある。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)や米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が、取引を知る関係者の話として伝えた。」

 としています。

そして、

「SBGが大規模に取得していたのはコール(買う権利)と呼ばれるオプションで、あらかじめ決めた値段で個別銘柄などを購入する権利を指す。とくに8月にコールの買いを増やしたとみられ、WSJによると約40億ドル(約4200億円)分に達する。現物株に換算すると500億ドル規模になる。上昇相場でコールを買い持ちすれば、レバレッジをきかせてより大きな利益を確保できる。」としています。

「ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は8月に10%近く上がった。個別でみるとテスラは74%、アマゾンは9%、マイクロソフトは10%それぞれ上昇した。これらの銘柄ではいずれもコールの買い持ちが増えている。一方、従来みられなかった大口の取引も浮上。「コール市場に"クジラ"がいる」との声が出るなか、SBGの存在が明らかになった。」

 

引用:

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO63492230V00C20A9000000?s=3

 

ここで、オプション取引とは何でしょうか?

ある株式を将来の決められ時期以降に特定の価格で買える「権利」を買い、その価格以上に実際の株価が上昇した場合には、その(実際の株価) - (予約して買った価格) = (儲け) となるというものです。

 つまり、株を特定の価格で購入するという「予約の権利」を買うので、その「予約権」の代金は実際の株価より非常に低いので、株価が予約した時に決めた株価より上昇したときには、その予約権の代金だけで、株価の利鞘を稼ぐことができることになります。

 一方、実際の株価が予約時の株価を下回った場合には、損することが目に見えているので、「予約権」を放棄することになり、その予約権を購入したときの代金も捨ててしまうことになります。

 

参考:

 

https://www.shiruporuto.jp/public/data/encyclopedia/deriv/deriv301.html

 

 人によっては、オプション取引が「博打」のようだと表現されますが、この予約権を元手に株価上昇なら「丁」で当たり、株価下落なら「半」で損というような構図に酷似しているからでしょう。

 ちなみに、「予約権」をさらに予約して買う権、例えて言えば「予約権の予約権」も取引可能となります。その「予約権の予約権」の予約権もさらに取引可能となります。

 このように、株式から派生した(英語でデリバティブ: Derivative)取引商品を「デリバティブ」とか「デリバティブ商品」と呼ばれています。このようなことを利用して様々な取引商品を作ったり、その仕組みで高度なことを行うというのが、「金融工学」と言われてきたものです。

 

 いずれにしても、ソフトバンクグループというのは、国際的な投資会社ということになります。