啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

トランプ大統領のパリ協定離脱宣言のファクト・チェック

 日本経済新聞2017年6月4日(日)の日曜版に、「パリ協定離脱・トランプ氏声明 誤解・誇張 検証相次ぐ」との見出しで、トランプ大統領のパリ協定離脱宣言のファクト・チェックが行われた結果が記事になっています。
1)「離脱はするが、再交渉を始めて公平な協定を結びたい」
   ー 単一の国による交渉は認められていない。
2)「パリ協定に残れば、大きな法的な責任を負う」
   ー 法的な拘束力や罰則はない。
3)「パリ協定が全面履行されても2010年までに0.2℃程度しか気温が下がらない」
   ー「何もしなければ気温は5℃以上上昇する可能性がある。」(0.2℃しか下がらないという試算をした同じMITの研究者の試算)
4)「2040年までにGDP3兆ドル分が失われ、製造業から650万人分の雇用が消える」
   ー 米経済研究協会(NERA)の試算だが、それには再生可能エネルギー業界などの成長や雇用増が無視されている。」
5)「パリ協定で中国は数百基の石炭発電所の新設が許されているが、米国は許されていない」
   ー そのような規定はない。米国は、シェールガスの増産で天然ガスに移行しているだけ。
6)「私は、(炭坑業で栄えたピッツバーグの市民を代表して当選したのであって、パリではない」
   ー ピッツバーグ市長は、トランプ大統領の宣言直後「パリ協定に従う」とtwitterに投稿。大統領選では、ピッツバーグ市の選挙区は、ヒラリー氏が勝利。

というように、面白いように事実と異なる言明がなされているという。