啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

「安全」と「チャレンジ」

 「チャレンジ」あるいは「挑戦」といえば、希望に満ちた前向きの一方通行のように考えがちですが、「安全」特に生活の「安全」と対比して考えると、この「チャレンジ」や「挑戦」をすることの判断はきわめて難しくなります。
 経済用語で言えば、「リスクオン」と「リスクオフ」。ここでリスクを取れるぞと思って大きなチャレンジ的な投資に向かうのが「リスクオン」。その逆が「リスクオフ」。
 就職の問題、家庭の問題、健康の問題、自分の家の問題、最低の資産形成の問題など、自分や家族の「安全」を優先せねばならないことが多々あります。この「チャンレンジ」には、それらのいくつかをあるいはすべてを危険に曝さねばならないリスクを冒さねばなりません。
 年をとってくると、この「安全」面はそれなりに乗り切って現在まできたのでしょうから、「チャレンジ」面が後悔として浮かび上がってくる傾向にあることは頷けます。したがって、それをそのまま若い人達に要望することは、少しアンフェア(不公平)な感じがします。
 それでも、若い人達には、敢えて「チャレンジ」して欲しい。大きな夢、不可能に近いと思われる目標、解けないと思われている問題、それらへの挑戦を是非行って欲しいと思います。
 安全を考えながらリスクをとらずにその挑戦は可能だよ、と思っているあなた。それは挑戦ではないのです。もちろん、戦略なしの挑戦は失敗します。しかし、その前に、挑戦する対象にどこまで自身を没頭できるか。いわば、英語で言うコミットメント(Commitment)ですね、その対象にどこまでコミットできるか。また、何をもって成功と言えるか分かりませんが、やはり自分で納得できたら成功なのでしょう。その納得できるところまで、どう持っていけるか。
 そういいながら、実際は自分に言い聞かせて、教授は今も自身を鼓舞させているのです。