啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

「中国への留学」時代の到来へ

遣隋使や遣唐使といった歴史的な日本から中国への使者は、当時の優れた中国の文化だけでなく、世界最先端の知識や技術を日本にもたらしました。
経済や文化の中国優位の長い歴史の中で、日清戦争から現在に至るまで経済や科学技術は日本が優位と思われてきました。しかし、10年以上前にGDPが逆転して中国の経済が世界第2位に躍り出るだけでなく、現在ではGDPが日本のおよそ2倍にも膨れ上がった中国経済は、今後10年以内に米国経済を抜いて世界第1位になることが確実視されています。如何に今後の中国経済が今までほどに成長できないとしても、経済の優位性が日本から中国に戻った現実は直視しなければなりません。
また、統計情報からのみ見たときに、学術分野での日本の凋落寸前の状況とともに、中国の研究機関に巨額な研究資金が出続けていることを考えますと、日本優位から中国優位への転換が現在急ピッチで進んでいると言わざるを得ません。
おそらく、もう10年もすると、研究職を求めて中国に移り住むだけでなくて、中国から最新の知識や技術を習いに日本からの留学が増えていく可能性が出てきました。まさに、「21世紀の遣唐使現象」が起こってくるものと予想されます。
むしろ、早く日本の大学や研究機関の国際化を図るためにも、逆に中国の急速な学術発展に肯定的に向き合って、絶対的に不足している日本の研究職ポストを国際的な視野で増やすという観点からも、「21世紀の遣唐使現象」は推奨されるべきことなのかもしれません。
プロ野球選手やプロサッカー選手のように、どんどん海外に出て活躍しながら、日本に戻ってきては日本のレベルを高めるのに貢献していくような状況を、学術研究の分野でも早急に作っていくことが急務なように思われます。