「 4月25日、サウジアラビア政府は、サルマーン国王主宰による閣議を開き、経済開発評議会（ムハンマド・サルマーン副皇太子が議長）が作成した2030年までの経済改革計画「ビジョン2030」を承認した。同日、ムハンマド・サルマーン副皇太子が同計画について記者会見で発表した他、『Al-Arabiya』放送においてインタビューに答え、石油依存型経済から脱却し、投資収益に基づく国家を建設していくことを強調した。発表された同計画における目標は以下の表のとおりである。また、これらの目標を達成するための手段として、国営石油会社サウジアラムコの5％未満の新規株式公開（IPO）、民営化による透明性の向上と汚職抑制、軍事産業の育成による国内調達の軍装備品支出の割合を50％まで拡大、外国人による長期的な労働・滞在を可能するグリーンカード制度の5年以内の導入などがあわせて発表された。
表 「ビジョン2030」による2030年までの目標
1活気ある社会
1.1確立された価値
1.1.1ウムラ（小巡礼）の受入許容者数を年間800万人から3000万人に増やす
1.1.2 UNESCOの世界遺産登録数を2倍以上にする ※2016年現在4件
1.2 生活の充足
1.2.1 国内における文化・娯楽活動への個人消費を2.9％から6％に上げる
1.2.2 少なくとも週に1回運動する人の割合を13％から40％に上げる
1.2.3. 3都市を世界の都市トップ100にランクインさせる
1.3 強固な基盤
1.3.1 社会関係資本指数（SCI）で26位から10位になる
1.3.2 平均寿命を74歳から80歳にのばす
2. 盛況な経済
2.1地理的位置の利用
2.1.1 物流効率指数（LPI）で49位から25位になる
2.1.2 石油を除いたGDPにおける非石油製品の輸出の割合を16％から50％に上げる
2.2 効果的な投資
2.2.1 世界第19位から世界第15位の経済規模の国家になる
2.2.2 石油・ガス部門におけるサウジ人率を40％から75％に上げる
2.2.3 公的投資基金（PIF）の資産を6000億リヤールから7兆リヤール（約1.9兆ドル）に増やす
2.3 オープンなビジネス
2.3.1 国際競争力指数（GCI）において25位から10位になる
2.2.2 GDPに占める海外直接投資の割合を3.8％から5.7％に上げる
2.2.3 GDPに占める民間部門の貢献の割合を40％から65％に上げる
2.4 豊富な機会
2.4.1 失業率を11.6％から7％に下げる
2.4.2 GDPに占める中小企業の貢献の割合を20％から35％に上げる
2.4.3 労働力に占める女性の割合を22％から30％に上げる
3. 野心的な国家
3.1 効果的な統治
3.1.1 非石油政府収入を1630億リヤールから1兆リヤール（約2700億ドル）に増やす
3.1.2 世界ガバナンス指標（WGI）で80位から20位になる
3.1.3 電子政府開発指数（EGDI）でからトップ5に入る
3.2 責任ある国民
3.2.1 世帯収入に占める貯蓄率を6％から10％に上げる
3.2.2 GDPに占める非営利部門の貢献の割合を1％未満から5％に上げる
3.2.3 年間100万人のボランティアが非営利部門で従事する（現状1.1万人）
[出所] 「ビジョン2030」公式ホームページ＜http://vision2030.gov.sa/ar＞よりmurakam作成 」
