啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

「科学技術イノベーション総合戦略」の原案の解説

 2,013年5月24日付の大和総研のDIRの「環境・社会・ガバナンス(ESG) ESGニュース」の「「科学技術イノベーション総合戦略」の原案」という記事が、環境調査部長の岡野武志氏によって書かれています。
 この記事は、非常によくまとめられていて、総合科学技術会議の総合戦略の考え方がよく解説されています。
 冒頭は、
「5月17日に首相官邸で開催された第111回総合科学技術会議(※1)では、科学技術イノベーション政策の全体像を、課題解決型戦略パッケージとして打ち出していくことが必要不可欠であるとの認識の下、「科学技術イノベーション総合戦略」の原案(以下「総合戦略」)が示されている。総合戦略は、中期計画である第4期科学技術基本計画(※2)と整合性を保ちつつ、「最近の状況変化を織り込み、科学技術イノベーション政策の全体像を含む長期のビジョンと、その実現に向けて実行していく政策を取りまとめた短期の行動プログラム」として策定されている。」
で、始まります。
 大和総研で作成された重要なまとめの図から、ポイントを引用して、概説しますと以下のようになるようです。

[1]科学技術イノベーション政策の運営上必要な6原則
(原則1)時間軸と目標を明確にした戦略を持つ
(原則2)科学技術イノベーション全体像を見据えた包括的な政策運営を行う
(原則3)川上から川下までの研究開発段階をカバーした一気通貫の政策を行う
(原則4)担い手の役割分担を明示しつつ、産官学が連携する
(原則5)様々な政策手段の間で連携を取り、組み合わせる
(原則6)予算と直結した年間のPDCAプロセスにより、施策の評価・見直しを行う



[2]科学技術イノベーション施策推進のための3つの視点
(視点1)スマート化:各産業の知識産業化を目指す
(視点2)システム化:「強み」を組み合わせて付加価値を倍増
(視点3)グローバル化:視線を上げて世界へ



[3]2030年に実現すべき日本の経済社会の姿
1)世界トップクラスの経済力を維持し持続的発展が可能となる経済
2)国民が豊かさと安全・安心を実感できる社会
3)世界と共生し人類の進歩に貢献する経済社会


[4]あるべき姿に向けて当面取り組むべき政策課題
1)クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現
2)国際社会のさきがけとなる健康長寿社会の実現
3)世界に先駆けた次世代インフラの整備
4)地域資源を「強み」とした地域の再生
5)東日本大震災からの早期の復興再生


[5]重点的課題と重点的役割
A)イノベーションの芽を育む
 1)企業と大学・研究開発法人で多様な人材がリーダーシップを発揮できる環境の構築
 2)大学・研究開発法人を国際的なイノベーション・ハブとして強化
 3)競争的資金制度の再構築
B)イノベーション・システムを駆動する
 4)産官学の連携・府省間の連携の強化
 5)人材流動化の促進
 6)研究支援体制の充実 
 7)新規事業に取り組む企業の活性化
 8)規制改革の推進
 9)国際標準化・知的財産戦略の強化


(引用:http://www.dir.co.jp/research/report/esg/esg-news/20130524_007208.html