啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

ドイツに学ぶ

 以前によく訪れたドイツのハイデルベルグからフランクフルトの空港へ戻る途中に、高い塀で囲まれた駐独米軍の広大な基地があり、シャトルバスで走る道路沿いに連綿と続く高い塀の連続に、同じく第二次世界大戦で敗戦国となったドイツの現実を見ることができます。
 そのドイツも、敗戦後直ちに武装解除させられたものの、当時の東ドイツ再軍備によって、1955年に西ドイツも再軍備を米英仏によって認められます。フランスの欧州防衛軍として理想もあって、フランスが西ドイツの再軍備に当初は反対していたものの、結局は認めることになります。
 ナチス時代に「国防軍」の名称を使っていたので、それとは異なる「ドイツ連邦軍」という名称が採用されます。
 長年にわたって徴兵制が採用され、2011年に2014年からその廃止が正式に決まっているようです。しかし、徴兵拒否が比較的に自由にできるため、あまりその現実を外国人が知る機会が少ないように思われます。
 東ドイツと西ドイツの統一に伴う国家人民軍との一体化は、東西ドイツの統合の成功例といわれるほど、表面的にはうまくいったと評価されています。
 ドイツ連邦軍の義務としてヨーロッパの防衛義務を負っていますが、ドイツ連邦共和国基本法によって、その活動は「防衛」のみに限定されています。
 湾岸戦争時は、日本と同じように、多国籍軍にお金しか供出せず国内外の批判を受けましたが、1994年の連邦憲法裁判所の判決で、「防衛」の意味が拡大解釈され、世界のどこの紛争地域にも軍を派遣することが可能になっているという状況のようです。
 ドイツ連邦軍のかなりの部分がNATO軍に参加していますが、その指揮権はドイツ以外のところにあり、それについてはドイツ国内で議論を呼んでいるようです。