啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

ウェッジウッドの集め方

 1枚がゆうに2万5千円もするようなお皿、いわゆるイギリスの高級食器の代名詞であるウェッジウッド(Wedgewood)は、チャールズ・ダーウィンの母方の父親が創業者ということもあり、教授の大好きな食器でした。
 特に、赤い色で大きくふちどりされた金縁の食器セットは、ロンドンを訪れるたびに欲しくてたまらない食器でした。しかし、あまりに値段が高く手が容易には出せない高値の花でもありました。
 あるときに、アメリカの教授のメンターのお一人が、同じ思いでウェッジウッドの食器を集めておられることを知り、上手な買い方を教えてくれました。この買い方を守り、ある程度の食器セットを手に入れることができました。
 その上手な買い方とは、ロンドンに行くたびに少しづつ買いそろえるという単純な方法でした。たしかに、ロンドンにそれなりに頻繁に行かなければ、これはできないので、一般的な方法ではありません。しかし、数年に1回はロンドンに行くような機会があれば、その都度同じシリーズの食器セットを根気よく買い揃えて、ある程度蓄積していくことができるのです。
 これには、大きな前提がありました。つまり、倒産はせず、同じシリーズの食器を100年というスケールで作り続けているという前提でした。
 ご存じのように、その後ウェッジッドは倒産します。そして、教授の大好きであったシリーズの食器セットは、長い伝統を閉じて生産中止となってしまいました。