啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

閉塞感が漂いだした日本のライフサイエンス研究

  一方、現実的には、このノーベル賞祝報とは裏腹に、我が国の全体的なライフサイエンス研究に何かしら閉塞感が漂い始めていると指摘する有識者の方々の数が増えているような感触を持ちます。
 わが国の国家財政の逼迫感もさることながら、今まで景気の良かった中国・韓国・台湾に、経済的な後退からくるであろう科学研究への微かな衰退感を感じる人が多いのでしょう。特に、ライフサイエンス関係はそれが顕著に表れている可能性があります。シンガポールなどで開催される国際シンポジウムなどに、特に中国人研究者の出席者の数が激減してきているといった報告もよく耳にするようになりました。 もちろん、米国の大学等に兼任的なポジションを持っている中国人研究者の方々は例外でしょうが。
  このように今まで頼りにしていたアジアのライフサイエンス研究が、ネガティブな経済効果の影響を受けてきている予兆を、関係する人達が敏感に感じとっているのかも知れません。「アジアに出よう」と叫んでいる教授も、アジアでさえも今後頼りにならない状況があるとすると、いよいよこの忍び寄る閉塞感は非常にやっかいなものになる可能性があります。その活躍の場をさらに広げて、インドや中東に広げて行くことは決して唐突なことでは、もはやなくなったと言えます。