啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

急遽、熊本へ

 ついに、有明海赤潮が発生したの第一報を中央水研の長井先生から数日前に受けました。
 現在行っている農水省赤潮対策メタゲノム解析プロジェクトの最大の山場になる可能性があります。
 すでに、精力的なサンプル収集に入ってもらってはいますが、現場での打ち合わせが必須です。また、急遽船の用意もお願いして、台風を心配しながらの船出になりました。
 熊本空港から、レンタカーで熊本漁業組合に向かいました。組合の事務所は休日でお休みながら、事務所に担当の若者が迎えに来てくれて、熊本港の船着き場に導いてくれました。
 そこで、現場調査のための用船が待っててくれて、飛び乗って昨日6000+cells/cm2という高濃度のシャトネラが観測された海域に急行しました。
 余談ながら、この船の速いこと、速いこと!時速70〜80kmは簡単に出てるはず。(最高藻度が45ノットということでしたので、1ノットを1.852km/時とすれば、時速80km以上が出ていたということでしょう。)聞けば、10日前に進水したばかりのぴかぴかの新造船とのこと。しかも、漁業組合が密漁船取り締まりに使う船とか。いわば、新車のしかもオープンカーのパトカーに乗せてもらって全速力で飛ばしてくれているようなものでした。

残念ながら、昨日の雨で現場の海域には、目視では赤潮と認識できない海の色合いでした。
 そこで、潮のながれで、潮目に近くに移動したのではないかということで、Uターンして再び全速力で潮目付近に急行しました。船頭さんの証言によると、昨日は全面に山吹色のような海水面であったとのこと。やはりそこまでの着色はなかったものの、通常とは異なる少し黄土色の泥を海水で溶かしたような色合いでした。
 早速に、カメラやビデオで記録し、具体的な打ち合せに入りました。とにかく、規模の広範囲さに驚きました。地元の感覚では、まだ極一部との認識であるようですが、現場に行って初めて、赤潮のスケール感がよく分かりました。
 よく、海面を遮光してシャトネラの増殖を防ごうなどと、何も知らないで提案したりする人もいるそうですが、現場を知っている人なら、赤潮の広範囲さからして、いかに馬鹿げた提案かがすぐに分かります。
 そして、帰りの飛行機に間に合うように、熊本空港に急いで引き返して帰路につきました。
 日帰りで強行軍の現場調査でしたが、実り多い一日でした。