啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

東京駅の混雑と消費者心理

 今日の日曜日の夕方の東京駅は、まともにまっすぐ歩けないほどの人波で、ひどい混雑でした。コンコース地下のどのお店も、ショウウインドウを二重三重に取り囲んだ人出でしたし、レストランなどは長蛇の列でした。新幹線の改札口も遠くからは全く見通せないほどの混雑ぶりで、修学旅行だけでなく熟年の団体旅行も混雑に拍車をかけていました。
 このような東京駅の混雑ぶりをみていると、ヨーロッパの信用不安や我が国の借金財政などによる景気の停滞や市場動向の悪さと、我が国の人びとの消費行動に大きなギャップが生まれてきているように思います。
 たしかに、昨年の今頃は、3.11の大震災や福島原発事故のため、その夏を乗り越えられるのかという大きな不安が、関東を中心に広範囲な地域の人々にありました。節電もあって、東京駅も文字どおり火の消えた状態で、人出も非常に少なかったことを覚えています。
 その昨年の今頃と東京駅の混雑度を比較しては、昨年の極端な落ち込み分は過度であったかも知れませんので、公平さは保たれていない可能性はあります。しかし、一昨年の今頃と比較しても、記憶が正しい限り、今年の東京駅の混雑は、明らかに際立っているように思います。
 一説によると、3.11以来「絆」が強調され、いかなるカタストロフが起こる前に、家族の「絆」を確認しておきたいし、友人や近所の人達との「絆」を大切にしておきたいと思いだして、それが共有体験としての「家族旅行」や「団体旅行」に向かわせているというのです。それが、結局は東京駅などの交通ハブの激しい混雑を引き起こしていると考えるのでしょう。
 この国の多くの人々の人生観にも大きな変化がみられ、この先何が起こるか分からないから、「出来るだけ何もしないで、将来や老後のためにしっかりお金を貯めよう」から、「今を楽しむために、少ないお金でも使えるだけ使おう」に、変わってきているのかも知れません。