啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

赤と黒

 フランスの作家・スタンダールは、頭脳明晰で記憶力抜群な青年が、恋愛を通して数奇な運命に弄ばれて、最後は進んで処刑されていくストーリーを描く中で、当時のフランスの貴族階級に対する猛烈な批判を埋め込みました。
 この長編の小説は、いくつかの当時の実話を元にしていると言われるだけあって、非常に読み応えがあったことを覚えています。
 しかし、この小説の題名が、どうして「赤と黒」なのかが分かりません。赤が軍人の制服の色で、黒が聖職者の色との説や、人生を賭けた象徴としてのルーレットの「赤と黒」という説もあるようです。
 原本の原題「Le Rouge et le Noir」は、まさに赤(ルージュ)と黒(ノアール)ではありますが、原本の表紙の題名においては「le Noir」のほうがずっと大きく書いてあります。スタンダールとしては、「黒」を強調しておきたかったのでしょう。