啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

「日本人の留学」はどうすれば増えるのか?

 東洋経済オンライン2013/2/18 08:00配信の藤井雅徳氏によるコラムの「日本人の留学はどうすれば増えるのか?」は、非常に意味するところが多いです。
 まず、最近の統計によると、高校から海外の大学に留学する生徒の数は増加傾向にあるらしいです。しかし、大学院生の海外留学となると、このブログでも何度か問題にしましたように、その減少は特に中国や韓国などと比較すると深刻です。
 著者は、英語力の問題を適格に指摘します。英語の技能テストのレベルが日本人は低すぎて、海外留学の壁となっていると指摘します。
 しかし、この問題は、約40年前の教授の学生時代から存在していました。若手の研究者の英語のレベルの格段の向上を近頃よく実感しますが、その逆に大学院受験生や院生の英語力低下を痛感することが多くなっています。
 いままでさんざんいろいろな改善策が取られてきていると思います。しかし、やはりもっと抜本的な改革のようなものが求められているのでしょうか。

<引用:東洋経済オンライン2013/2/18 08:00配信、藤井雅徳氏著>
「それでは今後、留学生数をさらに増やすために、どのような施策が必要であろうか?  私は、何よりも英語力向上であると考える。
 ・・・GTEC for STUDENTS(以下、GTEC)というベネッセが開発した中高校生対象のスコア型英語検定(2012年度の受検者数は61万人)のデータである。
 このデータは、まず、各大学合格者の高校3年間のGTEC平均スコアを算出、それを、TOEFL iBT(インターネット版のTOEFLテスト、120点満点)との相関を基にして、「国内大学合格に求められる英語力」と「海外留学で求められる英語力」の差を推定したものである。ちなみに、GTECはリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの3技能を試すテストであり、810点が満点となる。
・・・GTECの全国平均スコアは、高校1年生で408点、2年生で445点、3年生で463点である。たとえば、3年生の463点という平均スコアを、TOEFLスコアに換算すると、 おそらく「30点」程度だろうと推測している。」
 「〜旧帝大合格者でも、留学基準に遠く及ばない〜
 早慶上智MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)と関関同立(関西・関西学院同志社立命館)の平均スコアは583点なので、TOEFLに換算すると47点程度になる。旧7帝大(北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州)のGTEC平均スコアは606点、TOEFLに換算すると50点程度ということになる。
 各属性の数値とも、TOEFL iBTスコアの入学基準として求められている「アイビーリーグの100点」「海外4年制大学の80点」はもとより、「海外2年制大学の60点」にすら遠く及ばないことがわかる。
 当然のことながら、海外の大学は、英語力向上に向けた「語学レッスン」を行っているのではなく、すべて英語でさまざまな学問についての「授業」を行っている以上、ある一定の英語力がないと海外の大学も受け入れることはできない。要するに、日本の高校生や大学生が海外の大学に正規留学するのは、依然、英語力の面で相当な壁があるということだ。 」
(http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130218-00012936-toyo-nb&p=2)