啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

それでも「自分を信じる」

研究職への就職の難しい時代の中で、この時代が今に始まった訳ではありません。日本の高度成長期の1970年代そしてバブル経済の絶頂期前の1980年代、つまり日本はまだまだ十分に先進国でなく貧しかった時代には、大学の「助手」の先生になることなど、「夢のまた夢」であったことを身をもって経験しました。
 「生物学でメシが食えるか?」というのは、とても重大なテーマであったことを覚えています。特に、生物学が「ライフサイエンス」としてもてはやされる前には、いろいろな意味で、非常に苦難な時代を経験したきたのです。
 そのときの就職難は、ポストドク研究員制度も十分に発達しておらず、「特任」などの制度もなくて、研究を続けて行うには、欧米等の外国に出ざるを得ませんでした。
 それでも、「何とかなるだろう」精神は、若い世代の共通的な認識で、当時としては十分に「未来志向」であったのかも知れません。
 現在、その未来志向さえも停止せざるを得ない状況の中で、どうキャリアパスを繋いでいくのか?
 期待されたベンチャーの育成も十分に成功していない部分が多く、研究職・教育職のポストの総枠が急激に減少していく中で、未来志向をどう保持するのか?
 どこにも答のないようにみえる深刻な問いですが、その答はいくつかあるように教授は思います。
 そのひとつの答は、やはり「未来志向は世界志向」であるということ。もっと正確に言うと、未来は「アジア志向」であるべきだと考えています。
 中国経済の減速が顕著になってきて世界経済に大きな影を落としてきてはいますが、中国経済の復活も早めに出てくるという強気の見方もあります。また、竹島問題で日韓関係も急速に冷え込んで来ていますが、韓国は経済の底力の力強さを持っています。
 しかし、いま研究開発でお金を持っているのは、中国・韓国・台湾などのアジアの諸国なのです。