啐啄同時

若手研究者を応援するオヤジ研究者の独白的な日記です。

(木) 「自粛要請」と「検疫法第三六条」

 政府は、非常事態宣言続行中も基本はいろいろな規制的なことは強い要請であって、強制ではないいわゆる「自粛要請」という形で、都市のロックダウンと言われる封鎖などをせずに新型コロナ(COVID-19)の感染予防対策を行なってきました。

新型インフルエンザ等対策特別措置法、いわゆる特措法が2020年(令和二年)3月14日に施行されました。話題の第45条には

第四十五条 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。

2 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。
3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる。
4 特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない。
(住民に対する予防接種)
と、記してあります。つまり、ここには罰則規定が全くありません。
 一方、特定都道府県知事が出来ることが書いてあります。
 
しかし、「検疫法第三十六条」には、次のように書いてあります。
 

第三十六条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

一 第十一条第一項の規定に違反して明告書を提出せず、又は虚偽の事実を記載した明告書を提出した者

二 第十一条第二項の規定により、書類の提出又は呈示を求められて、これを提出せず、若しくは呈示せず、又は虚偽の事実を記載したこれらの書類を提出し、若しくは呈示した者

三 第十二条の規定による質問に対し、答弁をせず、又は虚偽の答弁をした者

四 第十三条の規定により検疫所長又は検疫官が行う診察(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)又は検査(同項の規定により実施される場合を含む。)を拒み、妨げ、又は忌避した者

五 第十四条第一項第一号から第三号まで、第六号又は第七号の規定により検疫所長又は検疫官が行う措置(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)を拒み、妨げ、又は忌避した者

六 第十四条第一項第五号の処分(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)に違反した者

七 第十八条第二項の規定による旅券の提示(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)をせず、又は報告(同項の規定により実施される場合を含む。)をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは質問(同項の規定により実施される場合を含む。)に対し、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者」

八 第十八条第四項の規定による旅券の提示(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)をせず、又は報告(同項の規定により実施される場合を含む。)をせず、若しくは虚偽の報告をした者

九 第二十四条の規定により検疫所長又は検疫官が行う措置を拒み、妨げ、又は忌避した者

十 第二十九条の規定による検疫所長又は検疫官の立入りを拒み、妨げ、又は忌避した者

十一 第三十四条の二第一項の規定により検疫所長又は検疫官が行う診察を拒み、妨げ、又は忌避した者

(昭三一法六六・平一〇法一一五・平一五法一四五・平二〇法三〇・一部改正)」であります。」



つまり、検疫法第36条には、罰金刑・懲役刑を含む刑事罰が違反者には与えられる可能性があるのです。


「自粛による努力目標」なのか、「刑事罰も構える法規制」なのか、なかなかはっきりしませんね。というか、とても分かりにくいです。ここは、良識を持って判断致しましょう。

 

 

 参考:

「要請」なのに罰則? ドイツから帰国した研究者が日本の「水際対策」に感じた違和感 - 毎日新聞